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おひるねの記憶

おひるねの記憶

 先日、探しものがあって久々に実家の押し入れを探っていると、くたびれた小さなマットレスが滑り落ちてきました。

見ると縦1メートル、横60センチほどの薄手のマットレスで、ミッフィーがプリントされた綿のシーツがかかっていました。ちょうど枕を置くところには、体操服のゼッケンのように、ひらがなで私の名前を書いた布が縫い付けられています。

マジックペンで書かれたその文字を見ていると、幼い日のなつかしい思い出がよみがえってきました。

私が通っていた保育園では、他の多くの園と同じように、午後におひるねの時間がありました。昔のことで記憶が定かではないのですが、たしかお昼ごはんから3時のおやつまでの間、1時間から1時間半程度ではなかったでしょうか。3歳より下の子はそれぞれの教室で、4歳以上の子は大部屋にびっしりと布団を並べて、毎日みんなで一斉に寝ていました。

もちろん遊びたいざかりですので、大人しく眠るばかりではありませんでした。部屋の隅でテーブルライトの灯りをたよりに帳面をつけている先生に見つからないように、毛布の中で友達と顔を見合わせたものです。それでもそうやって遊んでいると、囁き声を聞きつけた先生がやってきて、枕元で「みんな寝てるんだから静かにしなさい」と少し機嫌悪そうに怒るので、すぐに黙って毛布にくるまり目をつぶらなければいけませんでした

そうしていると周りの子を寝かしつけた睡魔が、順番どおり私のところにもやってくるので、やっとやすらかに眠りにつくことができました。

終了の時間がくると、 先生が勢いよく大窓のカーテンを開けます。午後の強い日差しがぱっと差し込んで、瞼の上からでも眩しさを感じます。起き上がってふと横を見るとまだ眠っている友達がいて、「仕方ないな」と思いながら揺すって起こしてあげたこともありました。

お昼寝の時間のあとは、晴れていれば外で遊ぶ時間だったので、私たちは我先にと靴を履き、温存した体力を使い切ってやろうと、園庭を子犬のように走り回っていました。

今改めてあのときのマットレスを見てみると、何よりその小ささに驚きます。今の私が寝転ぼうとすれば、足がまるまる出てしまうでしょう。それほど成長できたのも、このマットレスに包まれて毎日お昼寝をしていたから??なんてのはちょっと言いすぎでしょうか。今となっては忙しく、なかなか時間もとれませんが、今度の休みには久しぶりにゆっくりお昼寝をしてみようと思います。きっとあの頃の夢をみることができるでしょう。

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